Отрицательные сложные предложения в японском языке

ВАК
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20
5
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Сугано, Р., & Мехмонов, Ф. (2015). Отрицательные сложные предложения в японском языке. Восточный факел, 3(3-4), 46–53. извлечено от https://inlibrary.uz/index.php/eastern-torch/article/view/9714
Рэйко Сугано, Ташкентский государственный институт востоковедения

доцент

Фаррухжан Мехмонов, Ташкентский государственный институт востоковедения

Студент

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Аннотация

В данном исследовании всесторонне изучена структура составных отрицательных предложений японского языка и их употребление в составе родного языка. Прежде всего, были изучены и проанализированы исследовательские работы, посвященные использованию составных отрицательных предложений в японском языке, а также сравнительному анализу составных отрицательных предложений в японском и английском языках. Была изучена роль переходных (причина) <スル>и непереходных (становление)<ナル>предложений, а также роль выражений, которыми субъект показывает, выполнено ли действие так, как он/она хотел/а, и как эти два фактора влияют на составные отрицательные предложения. В статье была описана структура составных отрицательных предложений в японском языку с точки зрения “транзитных” и “интранзитных” предложений в языкознании.

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S H A R Q M A S H ’ A L I

46

日本語における結果キャンセル構文が成立する要因についての考察

ー「する」・「なる」的言語の発想と日本語の否定の発想を中心にー

NEGATIVE COMPOSITE SENTENCES IN JAPANESE

SUGANO REIKO

Доцент

,

ТашГИВ

MEKHMONOV FARRUKHJON

Студент

,

ТашГИВ

Abstract:

The research thoroughly investigates the structure of negative composite sentences in Japanese and their

usage as a natural language. Firstly, research works on the usage of negative composite sentences in Japanese and

comparative analysis of negative composite sentences in Japanese and English languages were learnt and analyzed.

Secondly, the impact of transitive {cause}

<スル>

and intransitive {become}

<ナル>

sentences and the speaker’s

expression of whether an action has been completed as he/she wished on the usage of negative composite sentences

was investigated. It was identified that in negative composite sentences, such as “

紙を切ったけれど、

切れなかっ

( I cut the rope, but it didn’t cut)”, the first part of the sentence shows the speaker’s wish and intention regarding

an action while the second part negates the result of the action.

Keywords and expressions:

compound statement, Japanese, comparative analysis,

linguistics, transit sentence,

intransit sentence.

Аннотация

.

Мазкур

мақола

япон

тилидаги

натижани

инкор

этувчи

қўшма

гапларнинг

таҳлилига

бағишланган

бўлиб

,

япон

тилидаги

инкор

қўшма

гапларнинг

ясалиши

ҳамда

унинг

табиий

япон

тили

сифатида

талқин

қилиниш

сабаблари

атрофлича

ўрганиб

чиқилди

.

Авваламбор

,

шу

пайтгача

япон

тилидаги

натижани

инкор

қилувчи

қўшма

гапларнинг

ишлатилиш

структураси

ҳамда

япон

ва

инглиз

тилларида

қиёсий

таҳлилига

бағишланган

илмий

ишлар

ўрганиб

чиқилди

.

Мақолада

япон

тилидаги

натижани

инкор

этувчи

қўшма

гапларнинг

ишлатилиш

структурасини

тилшуносликдаги

транзитив

ҳамда

интранзитив

гаплар

орқали

ёритиб

берилди

.

Таянч

сўз

ва

иборалар

:

қўшма

гап

,

япон

тили

,

қиёсий

таҳлил

,

тилшунослик

,

транзитив

гаплар

,

интран

-

зитив

гаплар

.

Аннотация

.

В

данном

исследовании

всесторонне

изучена

структура

составных

отрицательных

предложений

японского

языка

и

их

употребление

в

составе

родного

языка

.

Прежде

всего

,

были

изучены

и

проанализированы

исследовательские

работы

,

посвященные

использованию

составных

отрицательных

пред

-

ложений

в

японском

языке

,

а

также

сравнительному

анализу

составных

отрицательных

предложений

в

японском

и

английском

языках

.

Была

изучена

роль

переходных

(

причина

)

<スル

и

непереходных

(

станов

-

ление

)

ナル>

предложений

,

а

также

роль

выражений

,

которыми

субъект

показывает

,

выполнено

ли

действие

так

,

как

он

/

она

хотел

/

а

,

и

как

эти

два

фактора

влияют

на

составные

отрицательные

предложения

.

В

статье

была

описана

структура

составных

отрицательных

предложений

в

японском

языку

с

точки

зрения

транзитных

и

интранзитных

предложений

в

языкознании

.

Опорные

слова

и

выражения

:

составное

предложение

,

японский

язык

,

сравнительный

анализ

,

языкоз

-

нание

,

транзитное

предложение

,

интранзитное

предложение

.

キーワード:結果キャンセル構文、日本語の視点、「する」・「なる」的言語の発想、

日本語の否定の発想

1. はじめに
結果キャンセル構文

1

とは、崔(2011)によると、前件で働きと結果の達成を述べなが

ら、後件でその結果性を否定する構文のことであると述べている。

1

従来、事象キャンセル可能性に関する研究を行っている佐藤(2005)は「結果キャンセル他動詞文(結果キャンセル

文)」と述べている。宮島 (1985) や、 池上 (1980-1981, 1990-2000) の研究においては、 「結果キャンセル構文」に
対して明確な名称を与えていない。


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S H A R Q M A S H ’ A L I

47

(1) 窓を開けたが、開かなかった。
(2) 太郎さんを起こしたが、起きなかった。季(2014)

(1)

(2)

のように、日本語における結果キャンセル構文の「開けたが、開かなかった」や

「起こしたが、起きなかった」の場合は、動詞が意味する「行為」そのものだけに重点があり、

それによって意図された行為が完了したかどうかは問題にされない(季

2014

)。つまり、日本

語の「窓を開ける」のような動詞は、特に<行為>を表しており、「窓が最後まで開いたかどう

か」という意図された結果の<達成>までをその意味範囲に含まれていないため、

(1)

(2)

の例

は自然な日本語として容認される。

本稿では、後件が前件の対象の結果を打ち消しているように見える例を、先行研究にならっ

て「結果キャンセル構文」と呼ぶことにする。結果キャンセル構文の容認度に影響する要因を
「する」・「なる」的言語の発想や日本語における否定の発想の観点から考察・分析し、結果キ
ャンセル構文が成立する要因の根拠、や日本語の己の視点や否定の発想という話し手の判断・推
論が結果キャンセル構文に関与していることを検証することが主な目的である。

2.先行研究の概観

まず、日本語における結果キャンセル構文について行われた幾つかの先

行研究や考察などを概観・整理し、本稿の立場を定めておきたいと思う。

佐藤

(2005)

は、誤用論的な立場からの結果キャンセル構文の分析し、結果

キャンセル構文の容認可能性が動詞の意味によるものではなく、基本的に日
常的な推論

1

に基づくものであるとしている

2

(3)a. レールのさびついたカーテンをあけたが、あかなかった。<39.7>
b. カーテンをあけたが、あかなかった。<29.2>(佐藤 2005:101、<>内の数字が高い

ほど容認度が高い)

例(3a)に見られるように、「さびついたレール」によって実際にカーテンが開けにく

くなるという推論が働いているために、例(3b)の方が容認可能性が低いとする

3

。それに

対して、池上(1981)は、日本語と英語の達成動詞の観点から結果キャンセル構文の分析
を行い、どちらか一方に達成の含意があって他方にない場合は、英語に達成の含意があ
り、日本語にないため、日本語の結果キャンセル文が容認される。

(4)a.*John burned it, but it didn't burn.
b. ? 太 郎 は そ れ を 燃 や し た け ど 、 燃 え な か っ た 。 池 上 (1980-1981) 池 上 (1980-

1981) は、英語の「burn」動詞には達成

..

の意味があり、このような動詞は<結果>まで

をも意味範囲に含む Accomplishment の動詞であり、日本語の「燃やす」には活動

..

の意味

1

日常的な推論は、認知の一種であり、談話や外界の理解や意志決定において働くものである。それは、談話の構造と

内容に依拠している。たとえば、「今シーズンは阪神が優勝する(結論)。なぜなら投手陣の調子がよいから(

前提)」

は、結論とそれを指示する理由や根拠(前提)からなる。ここでは、前提が結論を支持する適切な根拠をも
ち、矛盾しないことが大切である。また、既有知識や文脈が、結論の評価に影響する。市川伸一編(1996)

2

佐藤 琢三(2005)「「切っても切れない」について」『自動詞文と他動詞文の意味論』笠間書院

99–113

.

3

佐藤琢三(2005)「変化他動詞文多義性とメトノミー」『自動詞文と他動詞文の意味論』笠間書院 115

-136.


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S H A R Q M A S H ’ A L I

48

があり、このような動詞は<行為>中心の Activity の動詞であるとしている

1

。また、

早津(1989)は、結果キャンセル構文の現象を自他対応(有対他動詞・無対他動

2

)の観点から考察・分析を行っている。たとえば、「見つける」という有対他動詞と

「捜す」という無対他動詞の相違点を取り上げる場合、以下のような例が挙げられている。

(4)?「鍵を見つけたがどこにもない」 早津(1989)
(5)「鍵を捜したがどこにもない」 早津(1989)
(4)の文は、何らかの方法で「鍵」の存在場所を明らかにする必要があるため、座

りがわるい文であるのに対して、(5)の文は、ある場所を調べるだけの行為を表してい
るだけで、

「鍵」の存在場所を明らかにする必要がない。そのため、

(5)の文は、ごく自然な日本語だとされる。
このように、従来の先行研究では語用論や日本語の動詞が持つ結果性の強弱の観点から

結果キャンセル構文の分析などが多く行われている。しかし、今まで「する」

「なる」的言

語の発想や己中心の日本語の視点及び表現者の判断・推論を表す日本語の否定の発想が結果
キャンセル文の容認度にどのような影響を与えるかについての研究は見当たらない。

3. 本研究の立場
まず、日本語における結果キャンセル構文を自己の視点を中心とする日本語の発想の

観点から結果キャンセル構文を分析する。次に、表現者が持っていたイメージ(期待、
予想、確信など)が実際のものとは違っていたということを表す日本語の否定の発想が
結果キャンセル構文にどう関与しているかを考察・分析する。最後に、有対他動詞であ
る「燃やす」に対して「燃える」という自動詞には自然にそうなっていくという日本人
の認知的言語の発想が含められているのではないかと考え、結果をまとめる。

4.「する」

・「なる」的言語と結果キャンセル構文のかかわり

まず、視点概念とは何かについての分析を行いたい。つまり、日本語の視点の定義を

先行研究の理論に基づいて概観・整理し、日本語の視点の特徴を取り上げ、日本語及び
英語の視点の違いについての詳細な考察をする。次に、「する」・「なる」的な言語発想が
結果キャンセル文の後件にどのように関与しているかについての検証を行う。最後に、
「する」・「なる」的な言語発想が結果キャンセル構文の容認度にどのように関与してい
るかアンケート調査に基づいて分析する。

4.1 視点概念とは
4.1.1 「日本語の視点」とは
古賀(2014)によると、「視点」とは、話し手か

ある事象を言語化する際に、と

ような把握の仕方(眺め方)をするかという観点から、「内の視点」と「外の視点」を区
別することか

きる。「内の視点・外の視点」とは、「事象を内から見る立場」・

「事象を外から見る立場」という事象の叙述の仕方の対立のことて

あり、池上 (2003,

2004,2006)の「主観的把握・実観的把握」にほほ

相当すると述べている

3

。しかし、従

1

早津恵美子(1989)「有対他動詞と無対他動詞のちがいについてー意味的な特徴を中心にー」『言

語研究』

231–256.

2

現代日本語では、対応する自動詞のある動詞は有対他動詞、対応する自動詞のない動詞は無対他動詞と

されている。早津 (1989)

3

古賀修太郎

(2014)「現代日本語の「視点」の体系に関する研究―移動動詞文、授与動詞文、受動文を中

心にー」『神戸市外国語大学学術情報リポジトリ』甲第 42 号


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S H A R Q M A S H ’ A L I

49

来の研究において「視点」とは何かという一つにまとめられた概念にはなっていない。
本稿では、以下の池上(2003, 2004, 2006)の立場をとる。

日本語における「自己の視点」については、森田(2002)において詳細な考察がなされ

ている。森田(2002)によると、「日本語の視点」とは一人称を言語化する必要がなく、
「己」を取りまく外の世界の事物や現象を自己の視点で把握し、発話者は、「己」であ
って「内」の存在として影在化し、己の目で捉えられる事物・現象が「外」の世界とし
て顕在化し、文面に現れている「自己の視点」ということである。

4.1.2 日本語及び英語の視点の違い
池上 (2003, 2004, 2006)は、日本語と英語の視点を比較し、「主観的把握」と「実

観的把握」に区別している。

(6)a.国境の長いトンネルを抜けると、雪国て

あった。「主観的把握」

b. The train came out of the long tunnel into the snow country. 「実観的把握」
つまり、日本語は、物事を主観的に把握する言語であり、己を取りまく外の世界の事

物や現象を自己の視点で把握する言語であり、英語は、物事を客観的に把握し、「私」
自分自身を外の世界に放り出す言語であるということが言える。

4.2「する」的な言語と「なる」的な言語とは
池上 (1981) によると、英語は「スル」的な言語で、日本語は「ナル」的な言語である。

英語では「何かが何かをする」のように表現しようとする傾向があるのに対して、日本語
では物事が「自ずからなる」のように表現しようとする傾向がある。英語表現における特
色を、かりに人間本位的と言うならば、日本語における特色は、自然本位的あるいは非人
間的とも言える。つまり、日本語における自動詞には自然にそうなっていくという日本人
の認知的言語の発想が含められているということである。以下の例を解説してみよう。

(7)映画がはじまっています。
(8)結婚することになりました。
(7)、(8)の用例から分かるように、日本語は<出来事全体>を捉え、文には行為主体者が

現れず、ことの成り行きという観点から出来事を表現しようとする言わば、「ナル」的な言
語であるのに対して、英語は、出来事に関与する<個体>、とりわけ<動作主>としての<
人間>に注目し、それを際立たせる形で表現しようとする言わば「スル」的な言語である。

4.3 日本語における自己の視点と結果キャンセル構文
まず、日本語の視点の立場から結果キャンセル構文をみていく。
日本語における視点の発想は、己の視点から出来事・周りの状況を捉え、己を取りま

く外の世界の事物や現象を自己の視点で把握することである。つまり、結果キャンセル
構文も後件で行為・出来事がどう変わっていくかというふうに、自己の視点を中心に外
の世界を捉えているため、当該構文の容認度が高くなるのではないかと考えられる。

(9) 糸を切ったけれど、切れなかった。
(10) ゴミを燃やしたけれど、燃えなかった。
(9)、(10)の前件において動作主が「切ったけれど」、「燃やしたけれど」のようにあ

る行為を起こしながら、後件においてその出来事がどう変わっていくか自分を取り巻い
ている外の状況を描いているだけである。つまり、「切ったけれど、切れなかった」とい


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50

う文は、前件の「切った」という時点においては主体者・表現者の視点であるが、後件
の「切れなかった」という時点においては、己の視点を通して物事を捉えている己の目
に映った外の世界になっている。そのため、「(私が)糸を切ったけれど」のように前件
の主体は「私」であるが、後件では主体が「(糸が)切れなかった」のように「糸」に変
わっているということである。

以上のことから、森田(1998)が主張する日本語の発想は蛇のように前へ進みながら進

行方向を適宜変えていくことができる恣意性の高い言語であるという現象は、この結果
キャンセル構文においても支持できるものと言えよう。

4.4 日本語における「自然にそうなる」の発想と結果キャンセル構文
次に、日本語の特徴の一つである「自然にそうなる」という日本語の発想という立場

から結果キャンセル構文を考えてみる。

日本語では、自分でお茶を入れた場合でも、「私がお茶を入れました。飲んでくださ

い」と言わないで、「お茶が入りました」と表現する。また、お風呂を自分で準備したと
きも、「お風呂が沸きました」というのも、主体が行動しても自然にそうなっているかの
ように話し手が見ている世界を表現するわけである。

(11)お茶が入りました。
(12)お風呂が沸きました。
(11)の例文のように「お茶が入りました」という文においては、文脈に行為主体者が

現れず、事の成り行きという観点から出来事を表現しようとしているということである。
日本語の結果キャンセル構文の場合も、前件では表現者は主体に立って<行為>を行い、
後件ではその行為が自然にそうなっているかどうかを自分を取り巻く外の世界から見て
いるというのが日本語の特徴であり、日本語における「なる」的言語の発想が結果キャ
ンセル構文の容認度に関与していると言えるだろう。

(13)洗濯物を乾かしたけれど、乾かなかった。
(14)お皿を割ったけれど、割れなかった。
(13)の例のように、己の視点から見た外の世界が「自然に乾く」・「自然に乾かなか

った」というように「自然にそうなった」・「そうならなかった」という日本語の発想
が結果キャンセル構文の容認度に大きな影響を与えていることがみられる。

4.5 実験調査とその分析Ⅰ
「なる」的言語である日本語の発想が結果キャンセル構文の容認度にどのような影響

を与えているか。もしくは、日本人の発想の観点から結果キャンセル構文を分析するた
め、本研究で行ったアンケート調査をもとに、「なる」的言語である日本語の発想が結果
キャンセル構文にどう関与しているかを具体的に再確認し、日本語として自然なものに
「○」

、やや不自然なもの「?」

、不自然なものに「×」とした。

<自然>=100%、<やや不自然>=50%、<不自然>=0%として平均値を算出。
○ ? × 平均値
(15)穴を掘ったけれど、掘らなかった。 3 9 89 4.9%
(16)穴を掘ったけれど、掘られなかった。 70 23 8 70.7%


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51

まず、これは無対他動詞である「掘る」という動詞の問題である。調査からも分かる

ように、(15)の場合、対応する自動詞のない無対他動詞を使うと、結果キャンセル構文
の容認度が極めて低くなるということが明瞭になっている。しかし、(16)の例文をみる
と、容認度が非常に高く、70.7%を占めている。なぜ、「穴を掘ったけれど、掘られなか
った」のように後件を可能形にすれば、自然に成立するのか。それは、「れる・られ
る」が可能形から自発形へと導かれていく文法形式もこの「なる」的な日本語の発想の
特徴の一つだと思われる。しかし、本研究では十分に検証できないため、後件で可能形
にした結果キャンセル構文の容認度については言及しない。

○ ? × 平均値
(17)ゴミを燃やしたけれど、燃えなかった。 52 20 29 61.4%
(18)ガスコンロの火を弱めたけれど、弱まらなかった。73 15 13 76.2%
これらの(17)、(18)の文では、対応する自動詞のある有対他動詞の動詞が使用されて

おり、日本語の視点が移動している。つまり、表現者が前件においては主体に立って、
「ゴミを燃やす」、「ガスコンロの火を弱める」という<行為>を行い、後件において
は主体が<ゴミ>と<ガスコンロの火>に変わり、「燃えなかった」、「弱まらなかっ
た」という<出来事>がどう変化しているかを自分を取り巻いている外の世界から描い
ており、「自然にそうなった」・「自然にそうならなかった」という日本語の発想が結
果キャンセル構文の容認度に大きな影響を与えているということが確認できる。

5. 日本語における表現者の判断・推論の観点からの結果キャンセル構文
この章では、2014 年 7 月に行った調査のデータ分析の前段階として、まず、表現者の

否定の発想(5.1)の考察をする。次に、その否定表現と結果キャンセル構文のかかわり
(5.2)を述べ、最後に本章のまとめを行う。

5.1 日本語における表現者の否定の発想とは
本章においては、話者・主体者の期待・予想はずれの否定表現の発想について考察・

分析をする。この考察・分析を日本語の否定の発想について森田(2002)の定義に基づい
て行うことにした。

冷蔵庫から取り出した麦茶を飲んで、「ぜんぜん冷えていない!」と叫んだとしたら、

それは当然冷えているはずだという予想(肯定的予想)が下敷きにあるからこそ,事実
がそうでなかった「否定的結果」を表現として打消しの形で述べている。

(19)(部屋に何人かの先生がいるとしても)(部屋に)誰もいない。
(20)(冷蔵庫を開けて、2本のビルをみて)ビールがない。
(19)の場合は、本当は部屋に何人かの先生がいるが、表現者が期待している(探して

いる)先生がいないため、「(部屋に)誰もいない」と表現する。(15)の用例も期待値と
は違い、家に来ているお客様にビールが足りないなどの状況で否定表現を使っている。

以上のことから、己の予想の存在状況に満たないことは、日本語にとっては「期待値

を否定する」発想を生み、客体的な外の存在事物への有無を判断するのではない。あく
まで表現者たる己の視点から対象事物を眺め、それに基づいて己の認識を否定する主観
的な判断が日本語の否定の発想であることがみられる。


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52

5.2 日本語における否定表現と結果キャンセル文のかかわり
本節では、日本語における否定表現と結果キャンセル文のかかわりをみてみる。つま

り、日本語の否定的結果を表現しようとする主体者の期待・予想はずれの否定の発想が
結果キャンセルの現象にどのように関与しているかを明らかにしたい。

(21)(教室に 3,4 人の学生がいるとしても)あ!(部屋に)学生たちはいない。
(22)紙を切ったけれど、切れなかった。
(21)の例文は、部屋に入ってきた先生は教室に学生たち全員がいるだろうという期待

がはずれたという驚きを表すために「(部屋に)学生たちはいません」と表現している。
(22)の結果キャンセル構文の場合も、話し手は前件である対象(紙)をもう切ったから、
後件では当然対象の紙が切れているだろうという予測がはずれ、実際はハサミがよく切
れなかったなどという理由で紙は切り分けられていなく、繋がっているため、「切れな
かった」と表現している。したがって、日本語の予想および期待はずれの否定の発想が
結果キャンセル文の後件に影響を及ぼすため、日本語の「紙を切ったけれど、切れなか
った」という結果キャンセル文が自然に成り立つのであると思われる。

5.3 実験調査とその分析Ⅱ
前節において日本語の否定の発想は結果キャンセル文とどのような関係があるかを検

証した。本節では、日本語の否定の発想が結果キャンセル文の容認度にどのように関与
しているかをさらに明らかにするため、2014 年に筑波大学日本語母語話者の大学生を対
象に行ったアンケート調査を日本語の否定の発想の観点から分析する。

○ ? × 平均値
(23) 家のゴミを減らしたが、減らない。 58 20 23 61.4%
(23) の例は、日常生活のことから考えると、家の家事をし、ゴミなどを減らそうとする

努力をしたため、家にあるゴミが減るだろうという期待をしていた。しかし、実際には長い
間住んでいなく、ゴミが沢山溜まっているから、ゴミが減らないという予想・期待が外れた
ため、

「家のゴミを減らしたが、減らない」という例文は自然な日本語であろう。

○ ? × 平均値
(24) 教室のドアを閉めたが、閉らない。 71 15 17 74.2%
(24)の「教室のドアを閉めたが、閉らない」という用例の容認度が極めて高く 74.2%にな

っていることが示された。この用例の場合も、主体者が教室のドアが閉まることを期待して
いたが、実際は何らかの理由でドアが閉まらなく、

「ドアが閉まる」という表現者の期待が

はずれており、日本語の否定の発想が結果キャンセル構文の後件に作用しているため、(24)
の結果キャンセル文は極めて容認度が高いと認められていることがみられる。

このように、アンケート調査の結果を分析することにより、日本語における結果キャ

ンセル構文の後件は単なる打ち消しの否定ではなく、主体者・表現者の予測や期待など
という評価のはずれを表現しようとするものであると解釈できる。

6. 結論
6.1 本研究のまとめ

①【「なる」的言語の発想】
結果キャンセル構文は、前件において主体者が<行為>を行い、後件の出来事を己を

取り巻いている世界を自己の視点から描き、「自然にそうなる」・「自然にそうならない」
ということを表現しようとすれば、自然に成立する。


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S H A R Q M A S H ’ A L I

53

②【日本語の否定の発想】
結果キャンセル現象を表現しようとする場合は、結果キャンセル文の後件は単なる日本

語における単なる打ち消しの否定ではなく、主体者のある出来事の結果に関する予測や期
待という評価のはずれを表現しようとすれば、結果キャンセルの容認可能性が上がる。

③【己を中心とする日本語の発想】
の「する」

.

「なる」的言語と結果キャンセル文と②の日本語における表現者の判断・

推論と結果キャンセル構文との関わりを考察を通し、共通点として言えることは、いず
れも主体者・己の視点を中心に外の世界の出来事を捉えているということである。

6.2 本研究の成果
研究では、結果キャンセル構文の分析を通し、「する」・「なる」的言語の発想や日本

語の否定の発想などの「日本語の発想」の特徴をさらに浮きぼりにし、日本語は己を中
心に外の世界を捉える言語であるという森田(1998)の主張と主観性の日本語であるとい
う池上(1981)の主張が支持ができることを確認した。

6.3 今後の課題

「穴を掘ったけれど、掘られなかった」のように後件を可能形にすれば、自然に成立する一

つの要因として表現者の期待度が後件に関与しているのではないかと想定されるが、この仮説は
考察・分析する必要があるため、今後の課題とする。

МУМТОЗ

ФОРС

-

ТОЖИК

ТИЛИ

ЛУҒАТЛАРИ

АҲМЕДОВА

ДИЛФУЗА

Филология

фанлари

номзоди

,

ТошДШИ

Аннотация

.

Мақола

форс

-

тожик

тилининг

ўрта

асрларда

яратилган

эронийзабон

халқларнинг

тарихий

-

маданий

ўтмишини

ўрганишда

ягона

манба

ҳисобланувчи

изоҳли

луғатларни

ўрганишга

бағишланган

.

Таянч

сўз

ва

иборалар

:

эроний

тиллар

,

форс

тили

,

тожик

тили

,

лексикография

,

тарихий

тилшунослик

.

Аннотация

.

Статья

посвящена

изучению

средневековых

толковых

словарей

таджикско

-

персидского

языка

,

считающихся

единственным

источником

для

познания

историко

-

культурного

прошлого

ираноязычных

народов

.

Опорные

слова

и

выражения

:

иранские

языки

,

фарси

,

таджикский

язык

,

лексикография

,

историческое

языкознание

.

Abstract:

The article deals with medieval explanatory dictionaries of the Tajik-Persian language, which are

valuable, and often unique, sources for research in the field of cultural history of the Iranian peoples.

Keywords and expressions:

Iranian languages, Persian, Tajik language, lexicography, historical linguistics.

Форс

-

тожик

лексикографияси

бой

тарих

-

га

эга

бўлиб

,

форсча

-

арабча

,

форсча

-

туркча

,

форсча

-

урдуча

каби

икки

тилли

луғатлардан

ташқари

,

ўнлаб

мумтоз

изоҳли

луғатларни

ўз

ичига

олади

.

Машҳур

эронлик

олим

Саид

Нафисий

ўзининг

Farhangh

ā

-ye p

ā

rsi

ма

-

қоласида

бир

қисми

сақланиб

қолмаган

ёки

ҳозирги

пайтга

қадар

топилмаган

202

та

лу

-

ғат

номларини

келтиради

1

.

Фарҳанги

забони

тожики

” 2

томли

изоҳли

луғатининг

кириш

қисмида

мазкур

1

Nafisi S. Farhangh

ā

-ye f

ā

rsi // Tabrizi M. H. Borh

ā

n-e

q

ā

te’.

Т

. I. –

Теҳрон

:

М

.

Моин

, 1951. 71–77-

б

.

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